ロット(Lot)=取引数量の単位。ロットが1つ変わるだけで1pipの金額も必要証拠金も大きく変わります。
本稿は、「定義→通貨数量→pips→損益→許容リスク%→ATR→コスト→時間帯→DD→連敗管理→証拠金→複数ポジション→自動計算コード」までを一気通貫で解説。
実務で迷わないよう、チェックリスト・計算表・ケーススタディ・練習問題30を付け、YMYL配慮とE-E-A-T情報も明示しました。 重要:本記事は教育目的の一般情報であり、投資助言ではありません。実売買は自己判断・自己責任で行い、必要に応じて登録業者・専門家へご相談ください。取引コスト・仕様・レバレッジ・証拠金要件は各社で異なります。
- ロットとは:最短1分の定義と背景
- ロットと通貨数量の対応・換算早見
- pips×ロット×口座通貨:損益フローを図解
- 基本原則:許容リスク%(固定フラクショナル)
- 損切りpipsから逆算するロット(数式・表・例)
- 口座通貨≠見積通貨のときの換算(USD/JPYなど)
- 主要ペアの実践計算:USDJPY/EURUSD/GBPUSD/AUDUSD
- ボラティリティ(ATR)×損切り設計×ロット
- 勝率・RR・期待値:資金曲線と最適ロットの関係
- 複利・ドローダウン・破産確率の考え方
- 取引コスト(スプレッド/手数料/滑り)をpips換算
- 時間帯・流動性・指標:ロット調整の実務ルール
- 連敗時の縮小ルール/ケリー基準の安全運用
- 残高変動で自動リサイズ:階段式リスク管理
- 複数ポジション配分/分割エントリー/部分利確
- レバレッジと必要証拠金:国内/海外の安全域
- 口座タイプ(USD/JPY/ECN/手数料型)別の注意点
- コード実装:ロット電卓(JS)+Excel式+疑似ATR
- 練習問題30問+解答/ジャーナルテンプレ
- まとめ・内部リンク・E-E-A-T・監修情報
ロットとは:最短1分の定義と背景
ロットはFXにおける取引数量の単位。一般的に 1.00ロット=100,000通貨、0.10=10,000、0.01=1,000。
同じ+10pipsでも、0.10Lと1.00Lでは損益は10倍違います。
最適ロットは「損切り幅・口座残高・許容リスク%・ボラ・コスト・時間帯」の積み木で決まります。
- 数量が大きいほどpip値(1pipの金額)と必要証拠金が増える
- 数量が小さいほど心理ストレスと滑りの影響が相対的に小さい
ロットと通貨数量の対応・換算早見
ロット | 通貨数量 | 想定用途 | 注意点 |
---|---|---|---|
1.00(スタンダード) | 100,000 | 上級・高流動時間帯 | 滑り/コスト影響が大きい |
0.50 | 50,000 | 中〜上級 | 板の薄い時間帯は縮小推奨 |
0.10(ミニ) | 10,000 | 中級・検証・複利開始点 | 分割戦略に相性良 |
0.01(マイクロ) | 1,000 | 初心者・ストラテジ検証 | 心理負荷が小さい |
ブローカーによりロット定義・最小ステップは異なります。実口座仕様で必ず確認。
pips×ロット×口座通貨:損益フローを図解
pips(ピップス)記事で詳説済み。要点を再掲:
- 非JPY:1pip=0.0001(例:EURUSD)/JPY含む:1pip=0.01(例:USDJPY)
- 損益金額=獲得pips × pip値(口座通貨)
- pip値は「見積通貨→口座通貨」換算が必要な場合あり
ペア | 口座USD | 口座JPY | 備考 |
---|---|---|---|
EURUSD | $10/pip | 約¥1,500/pip(USDJPY=150) | 非JPY |
USDJPY | 約$6.67/pip(150換算) | ¥1,000/pip | JPY含む |
AUDUSD | $10/pip | 約¥1,500/pip | 非JPY |
基本原則:許容リスク%(固定フラクショナル)
定義
許容損失 = 口座残高 × リスク%(例:0.5〜2.0%)
各トレードごとの損失上限を一定%で固定する手法。複利効果を得やすく、DDが深くなりにくい。推奨レンジ:初心者は0.5〜1.0%/中級でも最大2%目安。検証段階や指標日はさらに縮小。
損切りpipsから逆算するロット(数式・表・例)
一般式
通貨数量 = 許容損失 ÷ (損切りpips × 1pip金額)
1pip金額は1ロット基準で求め、のちにロットへ変換します。
例(JPY口座×USDJPY):残高¥500,000、リスク2%=¥10,000、損切り25pips。
- 1ロットの1pip=¥1,000 →
ロット = 10,000 ÷ (25×1,000) = 0.40
損切り | ¥5,000 | ¥10,000 | ¥20,000 |
---|---|---|---|
10pips | 0.50L | 1.00L | 2.00L |
20pips | 0.25L | 0.50L | 1.00L |
25pips | 0.20L | 0.40L | 0.80L |
40pips | 0.125L | 0.25L | 0.50L |
口座通貨≠見積通貨のときの換算(USD/JPYなど)
- 1ロットの1pip(金額・見積通貨)=
1pip幅 × 100,000
- 口座通貨へ換算:
pip値(口座) = pip値(見積) ×(見積→口座レート)
- EURUSDをJPY口座:$10/pip × USDJPY=¥換算
- USDJPYをUSD口座:¥1,000/pip ÷ USDJPY=$換算
主要ペアの実践計算:USDJPY/EURUSD/GBPUSD/AUDUSD
ケースA:USDJPY×JPY口座
- 残高¥300,000、リスク1%=¥3,000、損切り18pips
- 1ロット1pip=¥1,000 →
ロット=3,000/(18×1,000)=0.167
(約0.17)
ケースB:EURUSD×USD口座
- 残高$2,000、リスク1.5%=$30、損切り12pips
- 1ロット1pip=$10 →
ロット=30/(12×10)=0.25
ケースC:GBPUSD×JPY口座(USDJPY=150)
- 残高¥800,000、リスク1%=¥8,000、損切り20pips
- 1ロット1pip=$10 → ¥1,500/pip →
ロット=8000/(20×1500)=0.267
(≈0.27)
ケースD:AUDUSD×USD口座
- 残高$5,000、リスク1%=$50、損切り22pips
- 1ロット1pip=$10 →
ロット=50/(22×10)=0.227
(≈0.23)
ボラティリティ(ATR)×損切り設計×ロット
ATR法
損切り幅 = k × ATR(n)
(例:k=1.5, n=14
)。レンジではk↑、トレンドではk↓。
環境 | k推奨 | メモ |
---|---|---|
トレンド継続 | 1.0〜1.5 | 浅く追随 |
レンジ | 1.5〜2.0 | ノイズ吸収 |
指標前後 | 2.0〜3.0 | ロット縮小必須 |
ATRで損切りpipsが出たら逆算式でロット決定。
勝率・RR・期待値:資金曲線と最適ロットの関係
期待値
期待値 = 勝率×平均利益 − (1−勝率)×平均損失
RR(利幅/損幅) | 必要勝率 | 例 |
---|---|---|
1:1 | 50% | +20pips/−20pips |
1.5:1 | 40% | +30/−20 |
2:1 | 33.3% | +40/−20 |
RRや勝率が安定しない段階は、ロットではなくルールの一貫性(損切り基準・時間帯・セットアップ)を先に固める。
複利・ドローダウン・破産確率の考え方
- 固定%法:増えるとロット↑、減るとロット↓ → 自己調整的にDDを抑制
- 最大DD想定:20〜30%など。到達でリスク%を半分に
- 破産確率:推定勝率とRRに対し、過大ロットは破産確率を跳ね上げる
取引コスト(スプレッド/手数料/滑り)をpips換算
pipsに統一すると比較が容易。
項目 | 目安(EURUSD) | pips換算例 | 備考 |
---|---|---|---|
スプレッド | 0.2〜0.5 | そのまま | 時間帯で変動 |
往復手数料 | $4〜$8/L | 0.4〜0.8 | $10/pip換算 |
スリッページ | 0.1〜1.0 | そのまま | 指標・薄商いで↑ |
小pips利確戦略はコスト耐性が低い。ロットより勝ち幅の設計が先。
時間帯・流動性・指標:ロット調整の実務ルール
- ロンドン〜NY前半:通常ロット
- NY後半/早朝:ロット1/2
- 重要指標前後30〜60分:ロット1/3〜1/4、または見送り
- 週明け/週末クローズ前:ギャップ&流動性を考慮し縮小
連敗時の縮小ルール/ケリー基準の安全運用
連敗コントロール(例)
- 2連敗:ロット70%
- 3連敗:ロット50%
- 5連敗:休む(1セッション)
ケリー基準の注意
推定勝率とRRがズレると過大ロットに。実務は1/2〜1/4ケリーが通例。
残高変動で自動リサイズ:階段式リスク管理
残高帯 | リスク% | 備考 |
---|---|---|
〜¥300,000 | 0.5% | 検証期 |
¥300,000〜¥1,000,000 | 0.8〜1.0% | 安定期 |
¥1,000,000〜 | 0.5〜0.8% | 防御的 |
複利の上振れを抑えるため、上限ロット(例:1.00L)を明示。
複数ポジション配分/分割エントリー/部分利確
設計 | 配分例 | 意図 |
---|---|---|
均等分割 | 0.10×3 | 約定分散で滑り低減 |
トレンド逓増 | 0.05→0.10→0.15 | 有利方向のみ増す |
部分利確 | 半分利確→建値ストップ | 含み益保護とRR安定 |
総リスクは許容損失内に。共通ストップで一貫性を保つ。
レバレッジと必要証拠金:国内/海外の安全域
必要証拠金(概念)
必要証拠金 = 建玉想定元本 ÷ レバレッジ
- USDJPY 0.50L=50,000通貨 → 想定元本=50,000×価格
- 国内はレバ低め:証拠金維持率を厚めに確保
- 海外はレバ高:入れられるが損切り厳守と固定%で節度を
口座タイプ(USD/JPY/ECN/手数料型)別の注意点
- USD口座:JPYペアは¥→$換算が必要
- JPY口座:非JPYペアは$→¥換算が必要
- ECN/手数料型:スプレッド狭いが手数料あり → pips換算で総コスト評価
- STP/スプレッド込み型:手数料なしでもスプレッド広めのことあり
コード実装:ロット電卓(JS)+Excel式+疑似ATR
① JS:最適ロット電卓(貼付用・SWELL可)
<div id="lot-tool" class="swell-block" style="max-width:720px">
<label>口座残高:<input id="balance" type="number" step="0.01" value="500000"></label>
<label>リスク%:<input id="riskPct" type="number" step="0.1" value="1.0"></label>
<label>ペア種別:<select id="pairType"><option value="JPY">JPY含む(USDJPY等)</option><option value="NON_JPY">非JPY(EURUSD等)</option></select></label>
<label>損切り(pips):<input id="slPips" type="number" step="0.1" value="25"></label>
<label>見積→口座レート:<input id="quoteToAccount" type="number" step="0.0001" value="1"></label>
<button onclick="calcLot()">ロット計算</button>
<div id="lotResult"></div>
</div>
<script>
// 1ロット=100,000通貨。pip値はpips記事の式を再利用。
function pipValue(pairType, lot, quoteToAccount=1){
const units = Math.round(lot*100000);
const pipSize = (pairType==='JPY')?0.01:0.0001;
return pipSize * units * quoteToAccount; // 口座通貨/1pip
}
function calcLot(){
const bal=+document.getElementById('balance').value||0;
const risk=+document.getElementById('riskPct').value||0;
const t=document.getElementById('pairType').value;
const sl=+document.getElementById('slPips').value||0;
const rate=+document.getElementById('quoteToAccount').value||1;
const allowed=bal*(risk/100); // 許容損失(口座通貨)
const k = pipValue(t, 1.0, rate); // 1ロットの1pip金額
const lot = (sl>0 && k>0) ? (allowed/(sl*k)) : 0;
document.getElementById('lotResult').innerText =
'推奨ロット:'+lot.toFixed(3)+' / 1pip='+ (k*lot).toFixed(2)+ ' / 損切り金額='+ (sl*k*lot).toFixed(2);
}
</script>
② Excel/Sheets式(USDJPY×JPY口座)
許容損失 = 残高 * リスク%
pip値(¥/pip,1L) = 0.01 * 100000
推奨ロット = 許容損失 / (損切りpips * pip値(1L))
③ 疑似ATR(終値のみで近似する簡易式)
// 終値のみの近似ATR(目安):ATR_approx = EMA_n(ABS(C_t - C_{t-1}))
本番は高値/安値/終値の真のATRを使用。上式は概念理解・簡易UI向け。
練習問題30問+解答/ジャーナルテンプレ
練習問題(抜粋30)
- USDJPY×JPY口座:残高¥400,000、1%、損切り20pips。推奨ロット?
- EURUSD×USD口座:残高$1,500、1.2%、損切り15pips。推奨ロット?
- GBPUSD×JPY口座(USDJPY=150):残高¥1,200,000、0.8%、損切り25pips。推奨ロット?
- AUDUSD×USD口座:残高$5,000、1%、損切り12pips。推奨ロット?
- USDJPY×USD口座(150):残高$3,000、1.5%、損切り30pips。推奨ロット?
- RR2:1、勝率35%。期待値は正?負?
- 連敗3でロット50%ルール。初期0.30L→3連敗後のロットは?
- ATR14=0.45円、k=1.5。損切りpipsは?(JPYペア)
- スプレッド0.3p、手数料0.6p、滑り0.2p。総コストは?
- 固定額法¥5,000/回と固定%1%(残高¥300,000)。どちらが大きい?
- DD20%到達でリスク%を半分に。残高¥1,000,000→¥800,000。新リスク%1%→何%?
- 部分利確で半分決済、残り建値。心理面・RR面の利点は?(記述)
- 分割エントリー0.05→0.10→0.15(合計0.30)。総リスク制御の注意点は?
- USDJPY 0.20L、+18.5pips。JPY口座の利益は?
- EURUSD 0.40L、−9.3pips。USD口座の損失は?
- USDJPY(USD口座、150)1Lの1pipは何ドル?
- EURUSD(JPY口座、150)1Lの1pipは何円?
- NY後半はロットどうする?理由は?(記述)
- スキャル戦略で利幅4pips、総コスト1.2p。実質RRをどう見る?(記述)
- ECNとSTPのコスト評価の違いをpipsで説明(記述)
- ケリー基準をフルで使わない理由は?(記述)
- 連敗時のメンタル対策としての定量ルールとは?(記述)
- 国内レバで必要証拠金が不足しがち。ロットと損切りどちらを調整?(記述)
- 週明けギャップのリスクをどうロットに反映?(記述)
- ATRが縮小したらkはどう調整?(記述)
- 0.01Lで検証する最大のメリットは?(記述)
- 証拠金維持率アラートを避けるには何を厚めに確保?(記述)
- ロット上限を設ける目的は?(記述)
- 固定%1%で残高200→220万円。リスク額はどう変化?(計算)
解答例(要約)
- 0.25L(5,000/(20×1,000))
- 0.08L(18/(15×10))
- 0.256L(9,600/(25×1,500))
- 0.42L(50/(12×10))
- 0.33L(45/(30×(1000/150)))≈0.225? → 厳密は¥換算:1pip=$6.67、45/(30×6.67)=0.225
- 正(2:1の損益分岐33.3%を上回る)
- 0.15L
- 45pips
- 1.1pips
- 固定額¥5,000 > 固定%¥3,000 → 固定額の方が大きい
- 0.5%(半分)
- 自由記述
- 総損失が許容損失を超えないよう共通ストップで管理
- ¥3,700(200×18.5)
- $37.2(4×9.3)
- $6.67
- ¥1,500
- 縮小。薄く滑りやすいから
- 実質RR=(4−1.2)/損切り幅で評価
- ECNは手数料をpips化して合算、STPはスプレッドのみで評価
- 推定誤差に弱く、過大ロットになりがち
- 定量縮小(70%→50%など)で意思決定を自動化
- まずロットを下げ、損切り基準は戦略整合で維持
- 週明けはロット縮小・保有跨ぎは控えめ
- ATR縮小ならkも縮小可(過小ストップに注意)
- 心理負荷低&実コスト・約定の現実を体感
- 余剰証拠金(フリーマージン)
- 過剰な複利暴走の抑制
- 2万円→2.2万円(1%のまま上昇)
トレードジャーナル(テンプレ)
日時 | ペア | セットアップ | 損切りpips | 推奨L | 実行L | コストp | 結果p | RR | 所感 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
まとめ・内部リンク・E-E-A-T・監修情報
- 最適ロット=許容損失 ÷(損切りpips×1pip金額)。固定%法で複利とDD抑制を両立。
- ボラ(ATR)・時間帯・コスト・連敗でロット縮小ルールを事前定義。
- 残高に合わせて自動リサイズ。上限ロット・証拠金安全域を明文化。
内部リンク(回遊強化)
体験談(編集用)
・NY前半、USDJPY:固定1%・ATR1.5×損切り。0.17Lで+31.2p、−18.4pの組合せで日次+¥2,160。
・指標時は1/3ロットで見送り優先。DDが浅く、翌日の再開も平常心で実行できた。
→ 学び:ロット規律は「再現性のある期待値」を守る盾。
編集・執筆:FX総合研究所(編集部)
監修:投資教育アドバイザー(有資格者)による用語・計算ロジックのレビュー(実データ差し替え推奨)
最終更新:2025-10-07
免責:教育目的の一般情報であり、特定の取引の推奨ではありません。
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