FXの値動きを測る最小基準pips(ピップス)。本稿は、定義→数え方→金額換算→実践計算→ロット設計→コスト→注意点→練習問題までを一気通貫で学べる保存版です。
非JPYペアは小数第4位=1pip、JPYペアは小数第2位=1pipという原則から、pip値(1pipの金額)を手早く出す表・計算式・コードも完備。スマホでも読みやすく構成しています。 重要な注意:本記事は教育目的の一般的情報であり、特定銘柄・サービスの推奨や投資助言ではありません。実売買はご自身の判断と責任で。必要に応じて登録業者や専門家へ相談してください。
- pips(ピップス)とは|1分要約
- pipsの数え方|小数点の見方とポイント(0.1pip)
- 差分→pips→損益の基本式
- 1pipの金額(pip値)の求め方と早見表
- 実践例①:EURUSD(USD口座)で利益/損失を算出
- 実践例②:USDJPY(JPY口座)で利益/損失を算出
- ロット設計:損切り幅pipsから逆算する手順
- スプレッド・手数料・スリッページをpipsで把握
- つまずきやすい罠・チェックリスト・練習問題
- FAQ・用語集・内部リンク・著者情報
pips(ピップス)とは|1分要約
pips(ピップス)は、通貨ペアの値動きを測る最小の基準単位。
非JPYペア(EURUSD, GBPUSD, AUDUSD など)は小数第4位が1pip、JPYを含むペア(USDJPY, EURJPY など)は小数第2位が1pipです。
- EURUSD:
1.0850 → 1.0865
は +15 pips - USDJPY:
155.20 → 155.75
は +55 pips
ブローカーやプラットフォームによっては、さらに細かい0.1pip(= pipette / ポイント)まで表示します(例:EURUSD 5桁、USDJPY 3桁)。
pipsの数え方|小数点の見方とポイント(0.1pip)
主要ペアの表示ルール
通貨ペア | 一般表示例 | 1pip | 0.1pip(ポイント) |
---|---|---|---|
EURUSD / GBPUSD / AUDUSD など | 1.0865(5桁は1.08653) | 0.0001 | 0.00001 |
USDJPY / EURJPY / GBPJPY など | 155.75(3桁は155.752) | 0.01 | 0.001 |
方向でpipsは符号が変わる
- ロング(買い):上昇=プラスpips、下落=マイナスpips
- ショート(売り):下落=プラスpips、上昇=マイナスpips
プラットフォーム差
- MT4/MT5:「ポイント」が0.1pipの意味で使われがち(指標やEA設定で混同注意)
- cTrader / TradingView:小数の桁数表示がブローカー設定で異なることあり
差分→pips→損益の基本式
価格差からpipsへ
- 非JPYペア:
pips = (終値 − 始値) ÷ 0.0001
- JPYペア:
pips = (終値 − 始値) ÷ 0.01
符号(±)はポジション方向とセットで判断(例:ロングで価格上がれば+)。
pipsから損益へ
- 1pipの金額(pip値)を求める(次パート)
損益 = 獲得pips × pip値
コツ:口座通貨と見積通貨(ペア右側)が違う場合、まず見積通貨でpip値を出し、為替レートで口座通貨へ換算すると迷いません。
1pipの金額(pip値)の求め方と早見表
一般式(アルゴリズム)
- ペアの1pip幅を決める(非JPY=0.0001、JPY含む=0.01)
- 見積通貨建てのpip値:
pip値(quote) = 1pip幅 × 通貨数量
- 口座通貨がquoteと異なるなら、
pip値(account) = pip値(quote) ×(quote→口座通貨レート)
ロット定義
ロット | 通貨数量 | 想定ユーザー層 |
---|---|---|
1.00(スタンダード) | 100,000通貨 | 上級/システム/裁量 |
0.10(ミニ) | 10,000通貨 | 中級/段階的拡大 |
0.01(マイクロ) | 1,000通貨 | 初心者/検証 |
代表例(レートは例示)
- EURUSD/口座=USD:
pip値 = 0.0001 × 100,000 = $10
(1ロット) - USDJPY/口座=JPY:
pip値 = 0.01 × 100,000 = ¥1,000
(1ロット) - EURUSD/口座=JPY(USDJPY=150):
$10 × 150 = ¥1,500
(1ロット) - USDJPY/口座=USD(USDJPY=150):
¥1,000 ÷ 150 ≒ $6.67
(1ロット)
早見表:pip値(概算)
ペア | 口座USD | 口座JPY |
---|---|---|
EURUSD | $10 / $1 / $0.10 | ¥1,500 / ¥150 / ¥15(USDJPY=150) |
GBPUSD | $10 / $1 / $0.10 | ¥1,500 / ¥150 / ¥15 |
USDJPY | 約$6.67 / $0.667 / $0.067 | ¥1,000 / ¥100 / ¥10 |
実践例①:EURUSD(USD口座)で利益/損失を算出
ケースA:利確
エントリー:1.08520
、クローズ:1.08670
差:0.00150
→ +15.0 pips
- ロット:0.30(30,000通貨)
- pip値(USD口座):$10 × 0.30 = $3/pip
- 損益:15.0 × $3 = $45
ケースB:損切り
想定損切り:1.08520 → 1.08440
は -8.0 pips。
損失:8.0 × $3 = $24
実務メモ
- スプレッド込みで「建値+コスト」でBEラインを置くと再現性が上がる
- NY時間の薄い時間帯はスリッページ増えやすい(約定ズレに注意)
実践例②:USDJPY(JPY口座)で利益/損失を算出
エントリー:155.230
、クローズ:155.780
差:0.550
→ +55.0 pips
- ロット:0.20(20,000通貨)
- pip値(JPY口座):
0.01 × 20,000 = ¥200/pip
- 損益:55.0 × ¥200 = ¥11,000
補足:USD口座でUSDJPYを取引する場合
まずJPY建てでpip値(¥)を出してから、USDJPYレート
で割ってUSDへ換算します。
ロット設計:損切り幅pipsから逆算する手順
基本式
許容損失 = 口座残高 × 許容リスク(例:1~2%)
通貨数量 = 許容損失 ÷ (損切りpips × 1pipあたりの金額)
例A(JPY口座・USDJPY):口座¥500,000、リスク2%=¥10,000、損切り25pips。
- JPY口座×USDJPY:
pip値 = 0.01 × 通貨数量
(¥/pip) 10,000 = (0.01 × 通貨数量) × 25
→通貨数量=40,000
(=0.40ロット)
例B(USD口座・EURUSD):口座$3,000、リスク2%=$60、損切り18pips。
- 1ロット$10/pip →
pip値 = $10 × ロット
$60 = ($10 × ロット) × 18
→ロット=0.333..
(≈0.33)
可視化テーブル(JPY口座・USDJPY)
損切り幅 | ¥5,000許容 | ¥10,000許容 | ¥20,000許容 |
---|---|---|---|
10 pips | 50,000(0.50L) | 100,000(1.00L) | 200,000(2.00L) |
20 pips | 25,000(0.25L) | 50,000(0.50L) | 100,000(1.00L) |
25 pips | 20,000(0.20L) | 40,000(0.40L) | 80,000(0.80L) |
計算式:通貨数量 = 許容損失 ÷ (0.01 × 損切りpips)
(USDJPY×JPY口座)
スプレッド・手数料・スリッページをpipsで把握
なぜpips換算するのか
pipsへ統一すれば、ブローカー比較/時間帯比較/戦略比較が同一物差しで可能になります。
項目 | pips換算 | 金額 | 備考 |
---|---|---|---|
スプレッド | 0.3 pips | $0.9 | 板の厚い時間ほど狭い傾向 |
往復手数料 | 0.6 pips | $1.8 | $6/ロット相当→0.30Lで$1.8 |
スリッページ | 0.2 pips | $0.6 | 指標時や薄商いで拡大 |
合計 | 1.1 pips | $3.3 | BEラインに上乗せ |
スワップ(金利相当)もpipsに換算可能
ブローカー提示のスワップ(通貨/日)をpip値で割ると、pips/日での比較ができます。
つまずきやすい罠・チェックリスト・練習問題
よくある罠
- pipsとポイント(0.1pip)の混同:MT4/5の「ポイント」は多くの場合0.1pip
- 口座通貨換算を忘れる:見積通貨→口座通貨の換算が必要なケース
- コスト未考慮:スプレッド/手数料/スリッページをpipsで上乗せ
- ロットと損切りpipsの不整合:許容損失を先に決めて逆算
出撃前チェックリスト
- 損切り幅(pips)とロットは整合しているか
- 総コスト(pips換算)をBEラインに反映したか
- 流動性・指標カレンダー・約定品質を確認したか
練習問題(10問)
- EURUSD:
1.0850 → 1.0862
。変動は何pips? - USDJPY:
155.20 → 155.63
。変動は何pips? - EURUSD 0.50ロット(USD口座)。+12.3pipsの利益は何ドル?
- USDJPY 0.30ロット(JPY口座)。-18.5pipsの損失は何円?
- EURUSD(口座JPY、USDJPY=150)。1ロットの1pipは何円?
- USDJPY(口座USD、USDJPY=150)。1ロットの1pipは何ドル?
- 口座¥400,000、リスク2%(¥8,000)、損切り20pips(USDJPY・JPY口座)。通貨数量は?
- EURUSD:スプレッド0.2pips、往復手数料0.6pips、想定スリッページ0.1pips。総コストは?
- BEラインに1.0pipsのコストを加味。+8pips利確と-4pips損切りのRRは?
- pipsとポイントの違いを20字以内で説明。
解答例を表示
- +12.0 pips
- +43.0 pips
- $10/pip×0.50L=$5/pip → 12.3×$5=$61.5
- ¥1,000/pip×0.30L=¥300/pip → 18.5×¥300=¥5,550
- $10×150=¥1,500
- ¥1,000÷150≈$6.67
- ¥8,000=0.01×通貨数量×20 → 通貨数量=40,000
- 0.2+0.6+0.1=0.9 pips
- 利確8/損切4=RR2.0(コスト1pipsはBE基準に加算)
- pips=基本単位、ポイント=0.1pip
FAQ・用語集・内部リンク・著者情報
FAQ
pipsと「ポイント(0.1pip)」の違いは?
pipsは基本単位、ポイントはその10分の1(0.1pip)。5桁/3桁表示の最末桁がポイント。
pip値の早見表だけで十分?厳密計算は必要?
概算には早見表が便利。厳密には見積通貨で計算→口座通貨へ換算するのが正確。
約定コストはどう見積もる?
スプレッド+往復手数料+想定スリッページをpips換算し、BEラインに上乗せします。
用語ミニ集
- pips:値動きの最小単位(非JPY=0.0001、JPY含む=0.01)
- pipette/ポイント:0.1pip
- 見積通貨(クオート):ペア右側の通貨
内部リンク(学習ロードマップ)
体験談テンプレ(編集用)
・〇年〇月、EURUSDのブレイクアウトで+18.6pips。NYオープン直後で板が厚く、スリッページ0.1pips。
・一方で指標時のUSDJPYは-22.4pips。事前にコスト上振れを想定すべきだった。
→学び:①コストは常にpips換算 ②指標時のロット縮小 ③損切りpips固定でポジション調整。
ワンクリックpip値チェッカー(貼付用)
<div id="pip-tool" style="max-width:640px">
<label>ペア種別:
<select id="pairType"><option value="NON_JPY">非JPY(EURUSDなど)</option><option value="JPY">JPY含む(USDJPYなど)</option></select>
</label>
<label>ロット:<input id="lot" type="number" step="0.01" value="0.30"></label>
<label>見積通貨→口座通貨レート:<input id="rate" type="number" step="0.0001" value="1"></label>
<button onclick="calcPipValue()">計算</button>
<div id="result"></div>
</div>
<script>
function calcPipValue(){
const t=document.getElementById('pairType').value;
const lot=parseFloat(document.getElementById('lot').value||0);
const rate=parseFloat(document.getElementById('rate').value||1);
const units=Math.round(lot*100000);
const pipSize=(t==='JPY')?0.01:0.0001;
const pipInQuote=pipSize*units;
const pipInAccount=pipInQuote*rate;
document.getElementById('result').innerText='1pip = '+pipInAccount.toFixed(4)+'(口座通貨)';
}
</script>
編集・執筆:FX総合研究所(編集部)
監修:投資教育アドバイザー(有資格者)による用語・計算ロジックのファクトチェック(サンプル枠:実データで差し替え推奨)
最終更新:2025-10-07
免責:教育目的の情報。投資助言ではありません。
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